2025年3月28日に日本公開予定の映画『エミリア・ペレス』が、情報番組『5時に夢中!』で中瀬ゆかり氏により紹介され、SNSや検索エンジンで注目を集めています。
本作は2024年のカンヌ国際映画祭で審査員賞および女優賞を獲得し、ゴールデングローブ賞やアカデミー賞を含む数々の国際的な賞を受賞。その一方で、LGBTQ+描写や文化的表現、主演俳優の発言などをめぐって賛否両論が巻き起こっています。
本記事では、『エミリア・ペレス』の評価と批判、さらに主演カルラ・ソフィア・ガスコンの炎上まで、注目される理由を深掘りして解説します。
映画『エミリア・ペレス』とは?
『エミリア・ペレス』は、ジャック・オーディアール監督によるスペイン語フランス映画で、ミュージカルとクライム要素を融合させた作品です。
原作はオーディアールが執筆したオペラ台本であり、ボリス・ラゾンの小説『Écoute』の一章を脚色したものです。
物語の中心は、メキシコの麻薬カルテルのリーダーであるマニタス。
彼は弁護士リタの協力を得て、姿を消し、女性「エミリア・ペレス」として新たな人生を歩もうとするが…。
圧倒的な評価と受賞歴
『エミリア・ペレス』は、2024年の第77回カンヌ国際映画祭にてワールドプレミア上映され、審査員賞を受賞しました。
さらに、主演女優陣4名が最優秀女優賞を同時受賞するという異例の快挙も達成しています。
その後も勢いは止まらず、第97回アカデミー賞では13部門でノミネートされ、助演女優賞と主題歌賞を受賞。
第82回ゴールデングローブ賞でも、作品賞(ミュージカル・コメディ部門)、外国語映画賞、助演女優賞、主題歌賞の4部門を受賞しました。
特に注目されたのは、Camille(カミーユ・ダルメ)による音楽や視覚的演出の斬新さ、そしてトランス女性を中心に据えた物語構成の新しさでした。
なぜ批判されたのか?
『エミリア・ペレス』は高く評価される一方で、各方面から批判の声も上がっています。
まず、脚本や物語のトーンについては「一貫性に欠ける」という指摘がありました。
スペインの新聞『El País』の批評家は、「視覚的には魅力的だが、感情的な厚みに欠ける」と述べ、物語の構成に疑問を呈しています。
また、メキシコ文化の描き方についても議論が起きています。麻薬カルテルをテーマにしていることから、「現実の問題を娯楽として消費している」として、メキシコ国内の批評家や映画関係者の一部から否定的な意見が出ました。
さらに、トランスジェンダーの描写についても賛否が分かれました。
LGBTQ+の擁護団体であるGLAADをはじめとする団体は、「手術に過度に焦点が当てられている」「トランス当事者の視点が十分に反映されていない」といった懸念を示しています。
カルラ・ソフィア・ガスコン:受賞から炎上まで
主演を務めたカルラ・ソフィア・ガスコンは、カンヌ映画祭でトランス女性として初めて女優賞を受賞し、大きな注目を集めました。
しかし、その後、過去のSNS投稿が掘り起こされ、炎上に発展しました。
投稿内容には、人種差別的な発言やLGBT、アジア系、イスラム教徒に対する差別的表現が含まれていたとされ、批判が集中しました。ガスコンはこれを受けて謝罪文を発表し、SNSアカウントを削除しました。
その影響でNetflixは
・賞レースにおけるガスコンのキャンペーン支援を中止
・プロモーション素材からも彼女の名前を除外
…という措置をとっています。
監督のジャック・オーディアールは、謝罪後もガスコンとは連絡を取っていないとコメント。
ガスコン本人も声明を出し、「作品のために沈黙する」と述べています。
まとめ
『エミリア・ペレス』は2025年3月28日から日本で劇場公開される予定です。
『5時に夢中!』で中瀬ゆかり氏が紹介したことをきっかけに、今後国内でも関心が高まっていく可能性があります。
評価と批判、そして主演俳優の炎上という複雑な背景を持つ本作は、ただの話題作にとどまらず、現代社会の多様性や矛盾を映し出す鏡でもあります。事前にこうした背景を理解しておくことで、より深く映画を楽しむことができるでしょう。
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